滋賀医療人育成協力機構
2026年1月30日
11月21日(金)浅井東/浅井診療所メンタルヘルスチーム「ここくら」から3人の講師をお迎えしご講演いただきました。「ここくら」は メンタルヘルスをチームで診ることを目標に2024年9月に発足されました。対等な関係のため、職種関係なくニックネームで呼び合っておられます。多職種でのメンタルケアの一環として取り入れた対話療法「オープンダイアリー」についてお話いただきました。
総合診療医の北川景都さんから、メンタルヘルスの診療には名前のつかないものも多々あり、個人でできるケアに限界を感じたと、診療に限らず複数で対話を続ける「オープンダイアリー」を取り入れた経緯を教えていただきました。
フィンランドの精神病院で始まった「オープンダイアリー」は、医師と1対1でおこなうクローズな診療とは違い、スタッフだけで患者の話をせずに、対話を続けることを目的としており、統合失調症患者の入院日数の減少、薬物療法が必要な患者の減少などの効果が認められています。
説明の後、2つのワークで、代表者はオープンダイアリーを体験しました。

看護師の川瀬佳奈さんからは、治そうとするのではなく対話を続ける「オープンダイアローグ」と出 会い、看護師だけでなくてもいいという意識変容があった。患者やご家族とその時々の関係で、女優のように役割を変化していってよいのでは、とご自身の経験を交えお話いただきました。

ソーシャルワーカーの寺村育美さんからは、クライエント(患者)に何かを与えることではなく、話を聞き患者自身で歩んでいく力を引き出し、環境を整える仕事ではあるが、患者さんに何かしてあげなくてはいけいという気持ちがあった。オープンダイアリーを取り入れることで、最初から決められた正解はないと気づき、患者と共に歩むという意識が更に強まったとお話いただきました。

職種の違う3人の講師から「オープンダイアリー」を通して患者、家族、医療者の意識の変化を伺いました。参加者からは「共感できた、新しい気づきがあった」などの感想があり、充実した時間となりました。
タイトル:「オープンダイアローグを通して考えるチームでの対話のあり方」
日 時:2025年11月21日(金)16:30~18:00(滋賀医科大学第1講義室)
講 師:北川景都さん、寺村育美さん、川瀬佳奈さん
(浅井東診療所メンタルヘルスチーム「ここくら」メンバー)
参加者:学生18名(滋賀医科大学医学科13名、看護学科5名)、教職員8名、合計26名
共 催:滋賀医科大学 医学・看護学教育センター、滋賀県医師キャリアサポートセンター、
滋賀医科大学 里親学生支援室
学生の声(抜粋)
・オープンダイアログを実践困難であっても、対等な立場で解決策を急がずに本人さんの意見を聞くという関わりは、今後の患者さんとのコミュニケーションで意識したいと考えた。
・「正解に導く」というより「患者が選択したことを正解にするためのサポート」をするという言葉はとても共感できるものがあった。今までの医療は医療従事者側から患者側へ一方的に医療を提供するのが主な流れであったが、患者と医療者が対話を重ね、患者が求める医療環境を共に作っていく必要があると思った。
・ソーシャルワーカーとして必ずしも何かを「与える」必要はないという考え方が新しい気づきでした。
・「対話から生まれるもの全てに価値がある」という言葉がとても印象に残った。ただ話を聞いているだけの時間も無駄ではないと思えた。
・相談を受ける側が色んな視点で見れるようになれば、1対1であったとしてもオープンダイアログ的な形で話ができるのではないかと思い、自分の視野を広げたいと思いました。
・先生がこれまでメンタルヘルスを学んで来られた過程や参考図書を知れたことが、将来家庭医として幅広いケースに携わりたいと考えてる者にとってありがたかったです。
・目標や正解への到達を急がず、あらゆる声に否定なく耳が傾けられる対話の中では、クライアント自身が内なる声に向きあいやすいのかも知れない、と思いました。
・短い時間でしたが、3人もの先生からのお話を聞くことができ、またワークショップもあり、満足度の高い講演会でした。


