
滋賀医療人育成協力機構

2025年4月15日
3月18日(火)~19日(水)に、高島市・湖西地域方面を訪問させていただいた春の宿泊研修には、学生22名(滋賀医科大学医学科第1~6学年16名、看護学科第1~2学年4名、滋賀県立大学人間看護学部2年生2名)が参加しました。
【1日目】
・地域散策
1日目の地域散策は安曇川町にある中江藤樹の住居跡・講堂跡である藤樹書院跡を訪問し、江戸の儒学者 中江藤樹の生涯や教えについてお話しいただきました。現在も地域の小学生達に中江藤樹の教えが引き継がれています。

・まつもと整形外科にて研修
午後からは2班に分かれて、新旭町で開業されているまつもと整形外科に訪問させていただきました。
松本先生からは、主に勤務医と開業医の違いについてご説明いただきました。松本先生ご自身が開業を決意されたきっかけや開業医としてのやりがい、勤務医時代のご経験や苦労された思い出等、それぞれにメリットとデメリットがあることを教えていただきました。
地域ならではの診察内容等、具体的な医療についてのお話しもしていただき、学生にとってとても興味深い内容でした。また、ご自身の自己紹介の中ではご趣味のワインやスポーツ観戦について笑いを交えてお話しいただき、なごやかな雰囲気での研修となりました。

・高島市訪問看護ステーションにて研修
もう一つの班は、今年度から高島市民病院と事業統合し、また、訪問看護ステーションの訪問リハビリテーションを開始された高島市訪問看護ステーションを訪問させていただきました。
訪問看護認定看護師の武内在宅療養支援部長に施設の説明をしていただき、利用者の方のケアだけではなく、生活の中で医療・介護をどのようにプラン立てし観察していくことが大事であることや、顔色や声などから、利用者の方がどのように感じたかを考えるなど、五感を大事にしてもらいたいと学生たちにお話しいただきました。

・朽木診療所にて研修
一日目の最後は、永らく滋賀県で唯一「村」であった朽木地区にある朽木診療所を訪問させていただきました。
始めに朽木地区の特徴についてお話しいただき、この地域が抱えている超高齢化問題、移動手段の確保や医師不足など様々な課題点についてもご説明いただきました。また、朽木診療所の特徴として、医師の勤務年数が短く、その度に医師が変更することについても、日頃の交流を交え、地域の方の理解を得ている旨、お話しいただきました。

・交流会
夕方は、宿泊先の今津サンブリッジホテルにおいて交流会を開催しました。
交流会第1部では、高島市民病院 病院事業 在宅療養支援部長 武内美英子訪問看護認定看護師に「高島地域を知り地域に求められる医療職になろう~医療職・行政職の立場から~」と題し、ご講演いただきました。
みんなで診て、共有し、早期発見につなげることの大切さや、コミュニティの盛んな地区と希薄な地区との差の問題点についてもお話しいただきました。

【2日目】
・地域散策
2日目の午前中は竹生島に行く予定をしていましたが、天候が悪く、船が欠航になったため、急遽予定を変更し、まず、マキノ町にあるメタセコイア並木を見学しました。まっすぐ伸びた県道小荒路牧野沢線の両側には、延長約2.4kmにわたりメタセコイアが約500本植えられ、その景観はとても雄大なものでした。季節的にはあいにくの時期でしたが、初めて訪れた学生もおり、その並木の長さに感激していました。

続いて、「われ~は湖の~子~♪」で知られる「琵琶湖周航の歌」の発祥の地である今津町の「琵琶湖周航の歌資料館」を見学しました。
琵琶湖周航の歌は、加藤登紀子さんが歌われて国民的に親しまれていますが、資料館の方の説明を受けて歌の由来や、たくさんの著名人が歌われていることについて知ることができました。

散策の最後は、今津ヴォーリズ資料館を見学しました。
現在はカフェとして利用されていますが、資料館の方の説明を受け、W.M.ヴォーリズの教えについても学ぶことができました。

・今津病院にて研修
サンブリッジホテルで昼食をいただいた後、午後からの最初の研修先として、今津病院を訪問しました。今津病院は、湖西地域では唯一の回復期リハビリテーション病棟を開設するなど、高島市、大津市、 長浜市から各疾患の手術後・発症後の患者さんに早期にリハビリテーションを実施し、住み慣れた自宅での療養に繋げることを目標とされています。
仁賀事務長、佐々木循環器内科部長から今津病院の概要、前川リハビリテーション室長から回復期リハビリテーション病棟の特徴、竹本課長からは地域包括ケアシステムの必要性についてお話しいただきました。
佐々木循環器内科部長からは、高齢化社会の中で多職種連携の必要性や、患者さんの希望を叶えるためには、関わるスタッフの各領域のプロフェッショナルとコミュニケーションの重要性や、患者さんに伝える時は、医学用語ではなく、かみ砕いた言葉で説明できるよう、日頃からの訓練が必要であるとお話しいただきました。最後に、透析センターなどの施設見学をさせていただきした。

・マキノ病院にて研修
国道161号線を北上し、最後の研修先であるマキノ病院を訪問しました。
高島市の最北部に位置するマキノ町は、町名がカタカナで表記されることから、北海道のニセコ町と姉妹都市協定を結んで盛んに交流が行われています。
マキノ病院は、湖西における最北の病院として、高島市北部の急性期救急医療を守るとともに、高島市民病院や今津病院との連携により、高島市の医療と地域包括ケアシステムに貢献されています。
研修に際し、西村病院長から病院の概要や特色についてお話しいただきました。学生からの質問に対して、総合診療医は幅広く様々な疾患に対応する必要があり、本院ではマンパワーが不足している診療のサポート対応、回復期・慢性期の様々な疾患への対応が必要であるので、色々な経験をしてくださいとお話しいただきました。また、院内を詳しく見学させていただきました。

今回も、地域の方々をはじめ、たくさんの医療関係者の方々にご協力いただき、地域医療について学びの多い研修となりました。この場をお借りして、ご協力頂きました皆様方に厚く御礼申し上げます。
豊かな自然に恵まれ、地元の方々の暖かな人柄に触れながら、この素晴らしい高島市・湖西地域で地域医療に従事する学生が一人でも多く活躍してくれることを切に期待しています。
(この研修は、滋賀医科大学里親学生支援室及び滋賀県医師キャリアサポートセンターとの協同で実施しました。)