滋賀医療人育成協力機構
「災害と救急医療~救命のために~」を開催しました。
2016年11月28日
第8回「卒業後の自分を考える」連続自主講座『災害と救急医療~救命のために~』を開催しました。
学生の皆さんが、医師や看護師としての自分の将来像を探すことを応援する「卒業後の自分を考える」連続自主講座を、11月4日に滋賀医科大学クリエイティブモチベーションセンターにおいて開催しました。
今回の講師には、江口 豊 医師(滋賀医科大学救急集中治療医学講座教授、滋賀医科大学医学科2期生)、田畑 貴久 医師(滋賀医科大学医学部附属病院 救急・集中治療部副部長、滋賀医科大学医学科13期生)、 飯島 圭 氏(滋賀医科大学施設課電気係 主任)、武村 佳奈子 看護師(滋賀医科大学医学部附属病院 看護部2C副看護師長)をお迎えし、お話を聞かせていただきました。
「世界標準治療を超えて」
江口 豊 先生からは、2010年に心肺蘇生法の国際ガイドラインが改定され、心肺停止患者に対する人工心肺装置の活用、緊急冠動脈形成術や脳低温療法の施行が社会復帰に繋がると示唆されました。
救急集中治療医学講座では、人工心肺装置装着や脳低温療法を積極的に導入し、世界のガイドラインの推奨度を超えた先進的治療を行っています。医師はガイドラインを遵守し診療に当たることはもちろん大切ですが、医学の進歩のためにガイドラインを作成する医師になろうという気構えも持ってほしい、とのお話がありました。
「災害への備え~災害の現場から~」
田畑 貴久 先生からは、外科医として診療を行っていたのですが、外科診療で扱う外傷の手術・処置の方が自分には合っていると思い、救急集中治療の道に進むようになりました、とのことでした。
医大で日常勤務をしながら、滋賀医科大学DMAT隊員として活動しています。災害現場で、DMATとして活動できる環境を整備したり、大学内で災害医療に対応できる人材の育成・体制の構築に努めています。
「チーム医療の要~メディカルスタッフの立場から~」
最後の学生さんから色々な質問があり丁寧に回答いただいた中、
特に印象に残ったのは、
講師の皆様が口をそろえて、「自分だけの力では何もできません、皆のチーム力が必要です。」と謙虚に語ってくださったこと。
「医師・看護師など人の命に係わる仕事に携わるということに腹をくくれ!」というお言葉。
「卒業後、どの科に進むかは自分の一番好きな事で選べばよい。進む道はおのずと開けて来ます。私達も外科医を目指していたが、現在は救急治療の道を進んでいます。」
学生の皆さんの心にずっしりと刻まれるお言葉をいただき有難うございました。
【参加学生の声】
- 攻める医者、守る医者というのが印象に残りました。どちらかというと守る医者の方に逃げたいと思ってしまうのですが、江口先生のお話を聞いて、攻める姿勢も大切なのだなと感じました。
災害医療の携わる人に、業務調整員という職種があることは知っていたのですが、話を直接聞くことができて、イメージとしてはっきりしたものになりました。
滋賀医大の救急について以前よりも知ることができました。 - 私にとってガイドラインは暗記して実行するものでした。今日のお話の中のガイドラインを作る側に自分がなる、という言葉には目からうろこが落ちました。
施設課の方が、医師や看護師と一緒にお仕事をしている姿に新鮮な感じがしました。 - 私は医学科1回生で、卒業後どのような医療活動に従事するかまだ具体的に決まっていなかったが、実際に災害現場で医療活動に従事している医師や看護師、業務調整員の生の声を聴くことで、災害医療に対する関心が深まり、将来災害医療に従事することを視野に入れる良い機会となったと思う。
また、災害医療は平常よりも、様々な職種の方々と連携が求められ、また業務調整員の方たちの支えが、円滑に医療行為をするにあたって非常に大切であるということを学んだ。
最後に、質疑応答があったが、その中で江口先生をはじめとして激励のお言葉があり、感銘を受けた。人生の先輩方からのアドバイスを忘れず、これからの学生生活を有意義に過ごしていきたい。 - 講師の先生方の能動的に医療に関わっておられる姿勢をお話し頂いて、日頃授業を受けてそのままで終わっていないか、受動的になっていないか、と反省する機会になりました。日々の授業も情報量が膨大ではありますが、先生方も仰っていたように、何が役に立つかは必要になるまで分からないので、試験にとらわれず学んでゆきたいと思います。
- 普段は一方的にお話を聞いている先生方と近い距離で、個人的なお話も交えて会話できたことが良かったです。気軽にオフィスを訪ねるきっかけも頂きました。ありがとうございます。